| <<Wang_taipeiより>>
この度、茂木さんより、QUAD22/IIについての多くの写真や大変詳しいご解説をいただきました。茂木さんのお父様の代から大切に使われてきたQUAD22/IIに加えて、非常に貴重であると思われれるオリジナルエンクロージャーに収まったGoodman社のAXIOMの写真とQUAD22/IIとの組み合わせ、また、オールドファンには懐かしいナショナルの『げんこつ』ユニットとの組み合わせの試聴解説もあります。 |
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| 測定中の写真 | オーディオ史上、名機の誉れ高いQUAD22及びQUADII |
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| QUAD22とQUADII接続写真 | QUAD22とQUADII接続時の配線状況 「QUAD22について」の電源部解説をご参照下さい。 |
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![]() QUAD22正面写真。入力切り替えSWの真ん中に赤のラインが入っているものは、かなりの初期型とのこと。 |
![]() 大変、珍しいQUAD22の背面写真。シリアル番28149。 |
![]() これも、非常に珍しいQUAD22内部の写真。 |
| ●概要 さて、QUADのファンの皆様は、#22とQUADII型の事は良く御存じと思われますが、細かい点を少々説明させて頂きます。写真では良く分からないかも知れませんが、#22プリの球は初段より「ECC83」×2本、「EF86」×2本の非常にシンプルな構成です。球は総べて英Mullard製でオリジナルです。特にEF86のMullard製のメッシュタイプは現在入手が難しいものです。回路的にも凝った点は無く、素直な音が期待できます。しかし構造は非常に凝ったもので、プッシュ式のスイッチはアマチュアには至難極まる設計でありましょう。また、LPレコード再生のイコライザーを3つのスイッチで設定しますが、SP盤からモノーラル初期、LPのRIAAまで各レコード会社のカーブに設定出来ます。如何なる初期盤を持ってきても、合わないカーブは在りません。プリアンプ中ここまでのカーブを持ち合わせているのは、この#22以外在りません。この事から、初期盤を愛するファンの方が愛用するケースが多いです。 写真の#22プリは少々珍しいもので、つまみ類が通常「赤」でありますが、私の物は白地に赤ラインと言うものです。これはごく初期のモデルです。内部構造と言うか?配線とスイッチシステムは異常を極めている?程こちょこちょしています。#22の電源スイッチにノイズキラーを後付けした以外は、どちらもオリジナルの内容であります。ノイズキラーはスイッチオフ時に出るノイズが嫌で付けました。 ●フィルター回路とトーンコントロール回路 また、フィルター回路とトーンコントロール回路が特徴的で、キャンセル位置で総ての回路を切り離します。また、ハイのフィルターについては各周波数(10k/7k/5k)を選択し、そこでのレベル調整をその左側のVRにて行えます。この3つの周波数帯域はそれぞれ、ステレオ、モノーラル、SP盤とわけると、ピタリと合ってまいります。(スクラッチノイズ除去)レベル調整は、トーン回路とも併用出来、先のイコライザーを更に追い込む程のものとなります。レコードマニアはうるさい人が多いものです。 ●電源部 次に電源部でありますが、全くプリアンプ自体は電源を持たず、パワーアンプから供給されます。パワーアンプの左チャンネルから供給されます。しかし、コントロールセンターという意味で、プリ部にスイッチを集合させていて、パワーのみの使用は無改造では不可能であります。チューナーは持っておりませんが、チューナーも総べてこの#22プリで制御されますと共に、電源は総べてパワー部が担います。恐ろしいのは、プリ部のスイッチの接点容量ですが、恐らく15A以上在るかと思います。ボリュームと同軸に配されていて、ボリュームを上げる方向に捻ると”パチッ”とスイッチが入るという、正に昔のラジオ的な感じです。 なお、写真のシステムは電源は220V仕様でセットしております。 ●その他 また、後部に見えるプラグ状の物は、入力ゲインを設定するものです。フォノ用でもMC,MM等に対応し、テープも数種類に対応出来ます。中身は抵抗とコンデンサで構成されていて、全データは公開されています。私はMC用のプラグとテープ(2Vppくらい)用を持っていて、CDでも何でもokです。 元々モノーラルとステレオの移行期の設計で、ステレオとモノーラルを全面のスイッチで選択出来ます。モードセレクタというものなのでしょうが、凄い事にモノーラルにセット致しますと、右チャンネルのQUADIIの電源は落ちて、左のみがなります。経済的な設計!という訳では無く、モノーラルは本来片チャンで聞くのが一番良い方法でありましょう。電気的にも一番正しい方法であります。 |
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| QUADIIフロント写真。なお、シリアル番号は、 41705と53696 |
QUADIIサイド写真 |
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| QUADII斜め上からの写真。美しい! | 大変貴重なQUADII配線状況 |
| ●測定(実測) パワーアンプであるQUADIIは、あまりにも有名であります。 写真のQUADIIは、暫くの間使用していませんでしたが、一応、測定等も行ってみたところ完調でした。参考までに、簡単ではございますが、以下の測定結果でありました。 最高出力:19.3W(10kHz)周波数特性:20Hz〜50kHz(3W時、±0.3dB) TONE-Cancel ※プリアンプ(#22)とのシリーズで測定。 ●出力及び周波数特性 メーカー発表の最高出力は15Wでありますが、 クリップ寸前で20Wくらいでます。但し、メーカー発表の値は歪み率を設定しております。私の測定は波形がクリップする寸前であります。しかしながら、比較的長寿命設計の回路で、出力管に無理をかけていません。本来KT-66のPPなら倍以上の出力設計も可能です。 周波数特性については、今回初めて測定しましたが結構ワイドレンジであります。特に高域特性は素晴らしいものでありましょう。低域に関しては50Hz近辺からプラスに転じてきました。これは回路的な問題で、 NFBの影響であろうと思われます。聴感上も多少ブーミーな低域に感じる点もありますが、実際にはこの低域特性とは無関係であろうと思います。周波数特性に関しても、カタログデータより良さそうです。 ●真空管及び回路構成 真空管につきましては、位相反転段に「EF86」×2、出力段に「KT-66」×2を使用しております。整流管には「GZ-32」を使用しております。EF86、GZ-32はこちらもMullardでオリジナルです。KT-66に関しては、英GEC社製がオリジナルであると思われます。私の物はGECとMullardの混成であります。出力トランスは「分割巻き」という特殊なもので、回路設計に多少のゆとりを与えるものです。内部に見える四角い箱は、オイルコンデンサーで、良質の音が期待出来るパーツであります。 回路的にはこちらも恐ろしくシンプルであります。プッシュプルなのにDCバランサーも何も無い設計で驚きましたが、絶妙なコンデンサーの挿入に因りオートバランス的な回路構成となっています。負帰還量についても奇をてらった点はなく、ごく普通の設計でありますが、当時の流行りからすると少なめの設定であろうかと思われます。KT-66は世界初のビーム管で、当時の回路設計者、ウィリアムソン氏が強力な負帰還を介して回路を構成した事で有名です。Quad氏もこれにかなり傾倒しても良さそうでありますが、実際にはそうでもない、若しくは弊害を体験していたのかも知れません。コンデンサー容量は全回路通して、非常に少ない構成であります。これは明らかに前世代的なパーツ状況で、WE(ウェスタン・エレクトリック)の時代の方が、より近い感じを受けます。これによる音質の悪さ?は意外な程感じませんが、残留ノイズそのものは少なくはありません。特に、リプルの除去率が悪く、高能率のスピーカーにはあまり向かないかも知れませんが、半導体的なノイズではなく気にならないのでした。この点、やはり整流管が寄与していると思われます。 |

| ■AXIOMとQUAD22/II |
| という訳で、大方の御説明は以上であります。最大の魅力は古今東西のアンプ中でも屈指のデザインレベルであろうと思います。#22は信じられない程可愛く、従えるQUADIIは機関車のような様相で、誠に男性的であります。オーディオなどと肩を張らずに、家庭の棚の上に置かれていて、家族の誰もがラジオのように使っていたに違い在りません。 音も独特で、実のところ、私のAXIOMとのマッチは余り好みではありません。非常に優しい音を鳴らしてきます。少々惚けたというか?柔らかい音です。瞬発力等のシャープな面が少なく、イージーリスニング的な音であります。また、少々大味であり力感もありますが、反面シャープでは無く繊細さに欠けましょう。馬力は在るのですがシャープで無く、とにかく優しい感じです。しかし、単なる優しい感じでは無く、少々深みに欠けます。即ち、本来の優しさも甘くなってしまい、曲に深みが出ません。切ないようなところも切なさが浅く、どうにももどかしい時があります。また、精神的な闘争を表現しようとする時、これはかなり苦しく微妙なニュアンスながら何かに到達出来得ないものを感じてしまうのです。力感とは別に、音そのものは細めで(ニュアンスとしての細めです)今一つ迫るものは薄くなるようです。 AXIOM自体がタンノイ等に代表されるブリティッシュサウンドでないからかも知れません。AXIOMはJBLのスタジオモニターをも破る程の解像力とスピードを持っています。純3極管によってドライブすると、設計者であるE・J・ジョーダンの狙いが見えてきました。スピーカー設計者の最大の難関と、最大の憧れがフルレンジ設計であるという事が、AXIOMによって良く理解出来ました。 しかしながら、QUAD には心のゆとりと生活感があります。音楽を精神性まで掘り下げて聴く必要が在るか否か?と自身に問えば、私は無論絶対必要でありますが、そうではない生活空間を得たいならば、QUAD の音は誠に心地よいと思います。 |
| ■エピソード One |
| つたない写真と説明ですが、QUADファンの皆様のお役に立てば幸いです。また、私のシステムの写真も公開させて頂きます。Goodman社のAXIOMは1963年の物で、エンクロジャーもオリジナルで、バスレフポートにARUなる圧力調整装置?も付いています。確かにオリジナル状態のAXIOMは珍しいらしいですね。父が使ってきたものを譲り受けて使っております。 AXIOMは生まれた時から聴いておりました。幼年時代は「お話しレコード」やアサヒソノラマのペラペラレコードを、父のシュアーV15 type IIでかけたり・・・。おまけに、兄と合計3度も針を折った記憶すらあります。今も新品の針を入れて大切に持ってます。 わたくしの兄もオーディオをしますが、初め兄がAXIOMを使い始めました。数週間でAXIOMは飽きられてしまったのでした。私は直ぐさまAXIOMを使い始めました。ユニットをエンクロジャーから外して、子供ながらにそのユニットの前に、耳を疑う程の美しい音の記憶が今も鮮明であります。現在32歳になりましたが、ずっとAXIOMの音を追ってまいりました。機器類のみならず、演奏家やレコードをも選ぶ過敏さに、少々手が焼けました。 現在はクラシックが99%ですが、特にジャンルは問わず良く鳴ります。 今回の試聴にはナショナルの8P-W1を使用しました。このスピーカーも懐かしいものですが、私が小学生の頃に「販売終了」の話を聞き、ユニットのみを買っておいたものです。当時¥3200(一本)の記憶があります。お年玉で買ったのかな?と思います。エンクロジャーは指定寸法で、2年前に作ってみました。音は?あまり・・・でしたが、懐かしい音がします。 |